ZIPPOライターを防災の視点で見直す|お気に入りが備えになる理由

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真鍮無垢ヘアライン仕上げのZIPPO 1937レプリカ フラットトップ 防災と備え
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ZIPPOライターを、以前はいくつか集めていました。今は数を減らし、手元に残っているのは1本だけです。

集めるのをやめたあとも手放さなかったのは、単純に気に入っているからでした。実用のために残したわけではありません。

ただ、ハクキンカイロを使うようになって、この1本の見え方が少し変わりました。燃料が共通で、しかも構造上、中身を入れ替えられる。趣味の道具として持ち続けていたものが、備えの側からも意味を持ちはじめたのです。

この記事では、ZIPPOライターを防災の視点から見直してみます。使い捨てライターに劣る点も正直に書いたうえで、それでも私がこの1本を持っている理由をまとめました。

かつてのコレクションと、今手元にある1本

以前はZIPPOライターを何本か持っていました。デザイン違いを並べて眺めるのが楽しく、少しずつ増やしていた時期があります。

その後、持ち物を見直していく中で少しずつ手放し、今残っているのは1本だけになりました。1937レプリカ フラットトップ ビンテージ、真鍮無垢のヘアライン仕上げです。1930年代後期のフラットトップ意匠を復刻したモデルで、装飾のない真鍮のケースが気に入っています。重さは、オイルを入れていない状態で実測56gでした。

この1本は、ケースだけを購入しています。当時、別のZIPPOから外したインサイドユニットが手元に余っていたので、それを組み合わせました。正規の製品はインサイドユニットも金色で組まれているようですが、私のものは銀色です。真鍮のケースに銀色の中身という、本来ない組み合わせになっています。

真鍮のケースと銀色のインサイドユニットを並べたところ

コレクションとして見れば、正しくない状態かもしれません。ただ、火を点ける道具として使うぶんには何も困りません。手放したライターの中身が、今もこの1本の中で動いていると考えると、悪くない気もします。

そして、この経験がひとつのことを教えてくれました。ZIPPOはケースとインサイドユニットが別々の部品で、入れ替えられるということです。この構造が、後で書く備えの話につながっていきます。

主役は使い捨て、ZIPPOはそのバックアップ

防災用品として火を用意するなら、まず使い捨てライターです。私も防災用品の中に1本入れています。

理由は単純で、備えとして優秀だからです。オイルを足す手間も、蒸発の心配もありません。軽く、かさばらず、置いておいたことを忘れていても、取り出せばそのまま使えます。備えというのは忘れていても機能することが大事なので、この性質はそのまま長所になります。

数は1本だけにしています。普段ほとんど出番がないうえ、ガスの入ったものを何本も置いておくこと自体が気になるためです。多めに備える考え方もあると思いますが、私は増やさないほうを選びました。

ではZIPPOは何かというと、その次に控える1本です。

使い捨てライターの弱点は、尽きたら終わりという一点にあります。普段の生活なら買い足せば済む話ですが、店が開かない状況が長引いたときには、それができません。ZIPPOは燃料を足せばまた使えるので、備蓄したオイルが残っているかぎり、火をつける手段が残ります。しかもそのオイルは、ハクキンカイロと共用しているものです。

以前、ライトの使い分けについて書いたときにも同じ結論になりました。ひとつの道具ですべてを賄うより、性質の違うものを役割で分けたほうが、どれかが欠けたときに全体が止まりません。ライターも同じで、すぐ使える主役と、長く続けられる控えを分けて持つ。私にとってZIPPOは後者です。

冬に暖をとるハクキンカイロと、その燃料と、燃料を共有するライター。この3つがひとまとまりになっていることが、私がこの1本を防災用品の一部として数えている理由です。

防災の視点で見たZIPPOライター

ここからは、ZIPPOが備えとしてどう働くのかを、3つの点から整理します。

燃料を足せば、また使える

使い捨てライターは、ガスが尽きたらそこで終わりです。ZIPPOは綿にオイルを染み込ませて使う構造なので、缶から補充すればまた使えます。フリントや芯も交換部品として供給されているため、消耗したら差し替えられます。

災害時に必要なのは火そのものというより、火をつけられる状態が続くことだと考えています。その意味で、補充して戻ってこられるかどうかは小さくない違いです。

ただし、すぐ火が欲しい場面で強いのは使い捨てのほうです。暗い中で注油するのは手間ですし、まず使い捨てを備えておくのが基本だと思っています。ZIPPOはその次に控える1本です。

ハクキンカイロと燃料を共用できる

ZIPPOオイルの缶がひとつあれば、ライターの燃料とハクキンカイロの燃料を兼ねられます。備える対象がひとつ減るのは、備蓄を増やしすぎたくない私には都合がいい点です。

ZIPPOライター、ZIPPOオイル缶、ハクキンカイロ スタンダードを並べたところ

ハクキンカイロの国内公式サイトでは指定のベンジンが案内されていますが、海外向けの公式サイトではZIPPOなどのライター用オイルも使用できる燃料として挙げられています。私はZIPPOオイルを使っていて、これまで不具合は感じていません。燃料まわりの詳細は、ハクキンカイロ スタンダードのレビューに書いています。

私の場合、ハクキンカイロはシーズンものなので、オフシーズンは防災用品と一緒にしまっています。結果としてオイル缶も通年その場所にあり、冬の暖をとるために置いてある燃料が、そのまま点火手段の予備燃料になっています。

放っておいても壊れない頑丈さ

ケースは真鍮の無垢材、中身も金属のインサイドユニットで、実測56gあります。軽くはありませんが、割れる部品がありません。

食品や水は、古いものから使って買い足すローリングストックができます。ですが道具類はそうはいきません。使う機会がないまま、収納の奥に置きっぱなしになりがちです。その間に落としたり、荷物の底で圧がかかったりすることもあります。使い捨てライターは軽くて手軽な代わりに、高温になる場所に置いたときのガス漏れという不安が残ります。放置される前提なら、壊れにくさはそれ自体が価値だと感じます。

ただし、長期保管でひとつだけ手を入れていることがあります。フリント(発火石)を組み込んだまま置いておくと固着し、いざというときに動かなくなることがあると聞いたため、私は抜いた状態で保管しています。使うときにセットする一手間はかかりますが、備えとして置いておく側の1本なら、そのくらいの手間は許容範囲だと考えています。具体的な保管方法は、この記事の最後のよくある質問にまとめました。

そしてZIPPOは、ケースと中身が別の部品です。普段はアークライターインサイドユニットを入れておき、外したオイルインサイドは予備として保管しておけます。一次は電気、二次は燃料という二段構えを1本のケースで組めることが、私がこのZIPPOをバックアップとして数えている理由です。

弱点と、私が試したこと

ここまでZIPPOを備えとして書いてきましたが、弱点もあります。先に正直に書いておきます。

オイルは使わなくても蒸発する

ZIPPOのいちばんの弱点です。入れたオイルは、使わなくても少しずつ減っていきます。久しぶりに使おうと思ったら全て蒸発していた、ということが普通に起こります。

この点で、使い捨てライターには完全に負けています。ガスは密閉されているので、引き出しに入れたまま何年経っていても、取り出せばそのまま火が点きます。備えとして置いておく道具に求められるのは、まさにこの性質です。

揮発防止のゴムパッドは、私の使い方には合わなかった

蒸発への対策として、揮発防止パッドという部品が売られています。インサイドユニットの底に付いている純正のフェルトを、ゴム製のパッドに交換するものです。私も3年以上使っていました。

取り付けは簡単で、レギュラーサイズのインサイドユニットに問題なく収まりました。オイルの持ちについては、レビューでは良くなったという評価が多く見られます。ただ私は非喫煙者でライターを常用していないため、交換前後を厳密に比べられてはいません。そもそも蒸発を抑えるものであって、止めるものではないという点も、押さえておいたほうがいいと思います。

そして3年あまり経った頃、注油口のフタの部分が欠けました。ゴムが劣化して裂けたような欠け方です。

注油口のフタの縁が欠けたゴムパッド

3年もったのなら、消耗品としては健闘したほうだと思います。日常的にライターを使う方であれば、交換しながら使い続ける前提で選ぶ価値はあります。

ただ、私の使い方には合いませんでした。出番が少ないぶん、劣化していても気づけません。備えとして置いてあるつもりのものが、知らないうちに欠けていたことになります。パッドの欠けは、外して純正のフェルトと並べてみると分かりやすいです。

欠けたゴムパッドと純正フェルトパッドを並べたところ

私は純正のフェルトに戻しました。

手入れの手間はなくならない

フリント(発火石)も芯も消耗品です。使えば減りますし、オイルも足す必要があります。交換部品は手に入るので直せますが、裏を返せば、直しながら使う道具だということです。

使い捨てライターには、この手間が一切ありません。買って、放り込んでおくだけで済みます。手をかけるのが楽しいと思えるかどうかで、この弱点の重さは変わってきます。

それでも、点火源の確保が目的なら問題は小さい

ここまで書いたうえで、私はこの1本を備えとして数えています。

蒸発が本当に困るのは、日常的に持ち歩いて使う場合です。使いたいときに点火しないでは意味がありません。一方、備えとしてのZIPPOなら、本体はライターではなくオイル缶のほうだと考えています。必要になった時に燃料を補充すれば使えるようになります。

そのオイル缶は、ハクキンカイロがシーズンものである都合上、防災用品と一緒にしまってあります。結果として通年その場所にあるので、探し回らずに済みます。

もちろん、暗いなかで注油するのは面倒です。すぐに火が欲しい場面で使い捨てライターに勝てるとは思っていません。だから主役は使い捨てのままです。ZIPPOに求めているのは、その先が続くことのほうです。

アークライターインサイドユニットという選択肢

蒸発という弱点そのものを避ける方法もあります。オイルを使わない中身に入れ替えることです。

中身を入れ替えると、オイルを使わないライターになる

ZIPPOからは、純正の交換用ユニットとしてアークライターインサイドユニットが出ています。炎ではなく電気の放電で着火するタイプで、オイルもフリントも使いません。

アークライター(ダブルビーム)が放電している状態

主な仕様は、ダブルビームタイプ、ダブルタップ点火、USB Type-Cケーブルでの充電、2年間の機能保証です。ケースはレギュラーサイズに対応し、スリムケースと1935ケースには使えません。私の1937レプリカはレギュラーサイズなので、そのまま収まりました。

ダブルタップ点火とは、着火ボタンを素早く2回押さないと放電しない仕組みです。誤って作動することを防ぐために備わっています。

オイルを使わないということは、置いておいても減らないということです。前の節で書いた蒸発の問題は、この時点で消えます。

充電が必要になる、という別の弱点

もっとも、弱点がなくなるわけではなく、入れ替わるだけです。オイルの代わりに電気が要ります。

メーカーや販売店の情報では、充電時間は約1時間、フル充電の状態から5秒の点火を約40回できるとされています。充電の繰り返しは約300回が目安で、通算すると約12,000回の点火という計算になります。私はこの数字を自分で検証したわけではないので、目安として受け取っています。

なお、たばこに火をつけるのと違って、ハクキンカイロの着火には数秒かかります。その用途で使うなら、40回よりも少なくなると考えておいたほうがいいはずです。

ハクキンカイロの火口に着火できた

実際に、このアークライターインサイドユニットでハクキンカイロの火口に着火できました。

火口に近づけるだけでは点きません。ライター本体を火口に軽く触れさせるくらいまで寄せると、安定して着火しました。時間は4〜5秒ほどです。電極そのものは火口に触れていないので、すぐに傷める心配はなさそうに見えます。実際、着火後の火口に変化はありませんでした。

ただし、これはメーカーが案内している着火方法ではありません。試す場合は自己責任になります。また、これを試したのは7月で、気温が高くベンジンが揮発しやすい条件でした。気温が下がる時期にも同じようにいくかは、まだ確かめられていません。冬に試したら追記します。

一次は電気、二次は燃料

そこで私は、普段はアークライターインサイドユニットを入れておき、外したオイルライターインサイドユニットを予備として保管しています。

一次の手段は電気です。オイルを気にしなくていいので、置きっぱなしでも減りません。二次の手段は燃料で、充電が切れたときや電気が使えないときは、中身を戻せばオイルライターとして動きます。そしてその燃料は、ハクキンカイロと共用しているものです。

片方が使えなくなっても、もう片方が残る。ケースと中身が別部品になっているZIPPOだから組める備え方です。記事の前半で書いた、ケースだけを買って手持ちのユニットを入れた話が、ここにつながります。

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ZIPPOライターによくある質問

Q1. 防災用なら使い捨てライターで十分ではありませんか?

十分だと思います。安く、軽く、管理もいらない使い捨てライターを備えておくのが基本です。この記事は、ZIPPOを新しく買って備えましょうという話ではありません。すでに持っている1本、あるいは使わなくなって手元に残っている1本に、備えとしての役割も与えられるという話です

Q2. オイルはハクキンカイロと共用できますか?

私は共用しています。ハクキンカイロの国内公式サイトでは指定のベンジンが案内されていますが、海外向けの公式サイトではZIPPOなどのライター用オイルも使用できる燃料として挙げられています。詳しくはハクキンカイロ スタンダードのレビューに書いています。

Q3. 揮発防止のゴムパッドは付けたほうがいいですか?

日常的に使う方には向いていると思います。私は3年以上使いましたが、注油口のフタの縁が欠けてしまい、純正のフェルトに戻しました。普段ライターを使う機会が少なく、劣化に気づきにくいことが理由です。備えとして置いておく1本なら、無理に付ける必要はないと考えています。

Q4. 手入れには何が必要ですか?

消耗品はフリント(発火石)と芯、そしてオイルです。頻度は使い方によりますが、いずれも交換部品が手に入るので、消耗したら差し替えられます。

フリントを吸収剤の綿に入れ、スプリングを外したインサイドユニット

私は長期保管の際、フリントを組み込まずに保管しています。抜いたフリントは吸収剤の綿の中に入れ、フェルトを元どおり取り付けておけば、紛失することもありません。フリントを押さえるスプリングも外し、インサイドユニットと一緒にジッパー袋に入れています。スプリングだけが付いていると、フリントが入っていると勘違いしたまま着火を試してしまい、部品を傷めるおそれがあるためです。

ジッパー袋で保管しているオイルライターインサイドユニットとスプリング

Q5. 飛行機に持ち込めますか?

国内線では、綿(吸収剤)が入ったオイルライターは、小型で携帯型のものを1人1個まで、身につけて機内に持ち込めます。預け入れはできません。ライター用のオイルは、持ち込みも預け入れもできません。この記事で書いた燃料の共用や二段構えは、飛行機では成立しないことになります。条件は更新されることがあるため、国土交通省の機内持込・お預け手荷物における危険物についてと、利用する航空会社の案内で確認してください。

まとめ

ZIPPOライターを防災の視点から見直してきました。要点をまとめます。

  • 主役はあくまで使い捨てライター。すぐ点いて、管理もいらない
  • ZIPPOは、燃料を足せば続けられる控えの1本
  • そのオイルはハクキンカイロと共用でき、缶ごと防災用品にまとめておける
  • 中身を入れ替えれば、オイルを使わないアークライターにもなる
  • 長く置いておくものなので、真鍮ケースの頑丈さがそのまま利点になる

一方で、オイルは使わなくても蒸発しますし、手入れの手間もなくなりません。この点で使い捨てライターに勝てるとは思っていません。ZIPPOに任せているのは、その先が続くかどうかのほうです。

この記事は、防災のためにZIPPOを買いましょうという話ではありません。持っていない方であれば、使い捨てライターを備えておけば十分です。書きたかったのは、すでに手元に1本ある方、あるいは使わなくなって仕舞い込んでいる方にとって、置き場所を変えるだけで意味が変わることがある、ということでした。

私がこの1本を残したのは、単に気に入っていたからでした。実用のために選んだわけではありません。それでも、ハクキンカイロと燃料を分け合い、いざというときに火を残す側に回ってくれるなら、手元に置いておく理由がひとつ増えたことになります。好きで持っているものが、そのまま備えの一部になる。私にとっては、それだけで十分な理由です。

ハクキンカイロそのものについては、ハクキンカイロ スタンダードのレビューに詳しく書いています。

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